最初はポリ塩化ビニリデンを、そのまま繊維やフィルムへ加工して利用するところから始まりました。第2次世界大戦時のアメリカでは、靴の中敷きや火薬類を湿気から守る厚手のフィルムなどとして活用されました。さらに戦後、包装分野への展開が図られましたが、この段階ではあまり普及しなかったようです。
※1950年頃には繊維として漁網用に使われ始めました。
ポリ塩化ビニルとの共重合体が発案されことで、薄い包装用フィルムへの加工への道が開かれました。家庭用・業務用を問わず、簡単に強度の高い梱包ができる材料として幅広く用いられています。
国産化されたのは1953年。呉羽化学工業(現クレハ)が自社開発の技術で、旭ダウ(現旭化成)がダウケミカル社からの技術導入によって、それぞれ生産を開始しました。NEWクレラップ®やサランラップ®に代表される食品包装用フィルムとして、国内でも用途の拡大が進んでいったのです。
ポリ塩化ビニリデンに塩素原子が含まれることから、1990年代頃にはヨーロッパの環境団体などから焼却処分時のダイオキシンの発生など環境負荷を懸念する声があがりました。これに呼応して、ポリエチレンやポリメチルペンテンなどを使用したラッピングフィルムなど競合製品も登場しました。
2000年代に入ると、ダイオキシンの発生についての問題、焼却施設への影響の問題とも、各界の権威から解決の主旨での意見が出され、今日では、焼却施設の改良や新型への建替えが進み、ダイオキシン問題は実質的には解決済みと言えます。2008年から東京23区もプラスチックゴミを燃えるゴミ扱いとしており、発電事業に利用するまでになっています。