家庭用ラップは、家庭内でさまざまな用途に使われています。料理や、肉・魚・野菜などの生鮮食品を包んで冷蔵庫、冷凍庫で保存したり、電子レンジでの解凍や調理の際に欠かせない存在となっています。
ポリ塩化ビニリデン製のラップは、バリア性に優れているので、食品の匂いが混じり合った不快臭が冷蔵庫に充満するのを防いだり、包んだ食品の酸化を遅らせて食品を長持ちさせることができます。また、耐熱温度が高く、破れにくいのも特長のひとつ。電子レンジでの再加熱や解凍の際にも安心です。
家庭用ラップには、そのほかに「ポリ塩化ビニル(PVC)」、「ポリエチレン(PE)」などの単層ラップや、「ポリプロピレン/ナイロン/ポリプロピレン」や「ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン」など、複数の素材を貼り合わせた多層ラップも発売されています。
これらの家庭用ラップのなかで、「ポリ塩化ビニリデン製ラップ」が最も歴史が古く、バリア性、耐熱性をはじめ、密着性、透明性、光沢、切りやすさ、コシの強さまで、多くの実用的なメリットがあるので、現在最も多く使用されています。
多層フィルムは、異なる樹脂を貼りあわせて作ったフィルムのことです。複数の樹脂を同時に押出成形する多層フィルム製造技術の進歩によって、バリア剤のポリ塩化ビニリデンを中間に使い、内層、外層に他の樹脂を組み合わせた包装材が開発されました。
たとえば、「ポリエチレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリエチレン」の構造を持つ多層フィルムは、チルドビーフやチャーシューのように重くて大きく、不揃いな形の食品の包装にとても向いています。熱処理による収縮で食品に密着させることで、肉汁などの分離が抑えられ、本来のバリア性と相まって保存性を格段に向上させることができるからです。