安全性と環境について

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ポリ塩化ビニリデンの安全性
ポリ塩化ビニリデン製品の安全基準

ポリ塩化ビニリデンは、家庭用ラップや食品保存用の包装に使われています。直接体内に入る食品を包んでいるわけですから、安全性が大切です。
ポリ塩化ビニリデンの安全性は、以下のような基準で保たれています。

ポリ塩化ビニリデンの安全性
食品衛生法による規格基準

わが国の食品衛生に関する法律は、1947年制定(昭和22年)の「食品衛生法」に始まります。
これには、
・食品用の容器・包装器具などは、有毒、有害な物質を含んでいてはならないこと。
・食品などに接触して、人の健康を損なうおそれのある容器・包装器具などを、販売したり使ったりしてはならないこと。
などが定められています。
この法律に基づいて、プラスチック製品の安全性を確保するための具体的な規格が、1959年に「食品、添加物等の規格基準」(厚生省告示第370号)として定められました。この規格基準はその後逐次改正され、プラスチック製器具・容器包装の規格基準として、一般規格および素材別の個別規格が制定されています。
素材別の個別規格のうち、ポリ塩化ビニリデンについては、1982年(昭和57年)の厚生省告示第20号により、「材質試験」と「溶出試験」の規格が定められました。
食品用の器具・容器包装に係る規制内容については、2020年(令和2年)6月1日に改正食品衛生法が施行され、合成樹脂は今まで業界自主基準で管理されていた製品に使用できるポリマーと添加剤について、第18条第3項を新たに規定する事により国のポジティブリスト制度が導入されました。
従って、ポリ塩化ビニリデンについては、2020年6月に改正施行されたポジティブリストへの適合と従前からの一般規格および個別規格への適合が必要となりました。
また、新たに製造管理規範(GMP)による製造管理、サプライチェーンにおけるPL適合の情報伝達、営業届出が規制されました。

プラスチック容器包装の一般規格
プラスチック容器包装の一般規格
ポリ塩化ビニリデンの個別規格
ポリ塩化ビニリデンの個別規格ポリ塩化ビニリデンの個別規格

この規格のなかで材質試験とは、食品に接触して用いられるプラスチック製品中に含まれてはならない物質の種類と基準値および試験を定めたものです。また、「溶出試験」とは、プラスチック製品から溶けだして食品に移行する物質の総量を規制するための試験方法と規格を定めたものです(最終改正は2006年(平成18年)3月31日の厚生労働省告示第201号)。

2003年(平成15年)には、内閣府に食品安全委員会が設置され、食品安全基本法も制定・施行されました。 これによって食品の安全に関するリスク評価や、この評価結果に対する関係省庁の施策の実施状況を監視し、必要に応じて勧告などを行うなど、食品安全行政も新たな枠組みが拡充されています。

注解

※1:ppmは、Parts per Millionの略で、100万分の1のこと。1ppm=0.0001%。

※2: 「モノマー」とは「基本物質」という意味で、同じ基本の物質がたくさん結合して鎖状や網状になったポリマーに対する言葉。